「データと言っても、結局は人間」
Rettyの若きPMが乗り越えた失敗と苦悩とは

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「実名型グルメサービス」として、その名を確かなものにしたRetty。

現在、月間利用者数は4000万人を誇り、いつしか知る人ぞ知る新興のサービスから国内大手サービスへと飛躍的な成長を遂げてきました。

そんなRettyでインターンとしてキャリアをスタートさせ、成長の歩みを共にしてきたプロダクト部門の若きマネージャーがいます。

24時間、休むことなく常に集積するデータ、そのデータの先にいるユーザーとのコミュニケーションや洞察を元に打ち手を考え、ひたすら改善を繰り返す日々に何を思うのでしょうか。

まずはどんな体制でRettyが日々のデータを見ているのか、田中大登さんに話を伺いました。


毎朝11時にチーム全員でデータ確認

Retty プロダクト部門マネージャー 田中大登さん

Rettyにはエンジニア部門の他にプロダクト部門があり、その中に「流入」「予約」「投稿」の3つのセクションがあります。それぞれサービスへの流入まで、実際に使ってお店を予約するまで、予約してから「この店よかった」と投稿してもらうまでの3つを見ています。

各セクションに1人ずつPM(Product Manager)がいて、さらにプランナーやデザイナーが5〜7名程度います。僕はプロダクト部門のマネージャーで、PMの1人でもあります。

田中さんは自らの仕事でもあるPMを「プロダクトの成長に責任を持ち、プロダクトが成長するためなら何でもやる、何とかする人」と表現する。

その上で「決断」「実行」「整備」の3つのサイクルを回すことでプロダクトの成長に寄与すると述べるが(※)、この3つのサイクルを回すために、日々変化するデータをどのようにチェックして、施策に生かしているのだろうか。

僕のチームでは毎朝11時から朝会をやって、目標に対する進捗や数値状況の変化をチーム全員で確認しています。re:dashで作成したダッシュボードの前に集まり、気になった部分をさらに細かく見ていきます。

Rettyには流入から予約までいろんな機能があり、細かく見ようと思ったらどこまででも見れますが、基本的にはコンバージョンや改善指標をメインに見ています。

re:dashやGoogleデータポータルを使うと変化感だけがパンと見れるようになるので、気になる変化をトピックとして挙げて、詳細を見たい時はスプレッドシートに移行してピボットテーブルなどと組み合わせるって感じです。

※3つのサイクルについては、田中さんのnoteに詳しく載っています。
Rettyで働くプロダクトマネージャーのお仕事(田中 大登さんのnote)

原体験はプランナー時代の失敗と苦悩

田中さんが扱うような定量データの場合、導き出される答えはある程度決まってくるのではないでしょうか。優秀な人が一人いれば正解は発見できますし、人数が増えるほど意思決定のスピードは落ちる気がします。

しかし田中さんは何度も「チームで」という言葉を繰り返し、チームワークの重要性を説きます。何がきっかけでそのような考えに至ったのでしょうか。

プランナーだった時にひたすら失敗した経験が大きいです。
データはみんなが見れる環境に置いたところで誰も見てくれません。

「ここの数値やばいから、この施策をやりたい」という話をしても、「やばい」ってどれくらいやばいのか、どんな影響があるのかとか、短期的にしか見ていないとか。そういう声があって、物事の推進にコミュニケーションコストがものすごくかかっていました。

数値を把握している人と、していない人で温度感の違いがあったんです。

当時は僕の独りよがりも強くありました。「温度感を合わせてよ」って僕が言ったところで合わせてくれないですし、みんながデータを見たいと思えない環境を作ってしまったことが大きな失敗でした。

かつては「自分の基準でしか物事を考えなかった」と過去を振り返る田中さん。自分が正しいと信じるばかり、周りの意見を聞かずに物事を進めたという。

それで走っても短期的には結果出るんですけど、周りが疲弊しちゃいますし、中長期的なところには繋がってきません。最終的に「大登さんにはついていきたくない」と言われました(笑)

しかし時が経つにつれ、田中さんはチームでデータを見ることで様々な視点や軸が生まれ、本質的な課題を発見したり、精度の高い仮説を立てたりできることに気づきます。それと同時に、いかに今までの自分が独りよがりだったのかを感じたのです。

その時に変わらんとやばいと思ったんです。それから1年くらいかけて、いろんな人の意見を聞けるようになり、だんだんと自分が正解だという思想がなくなってきました。そこで気づいたのは、そもそも僕が見てる世界が狭かったんです。

データと言っても、コミュニケーションや人間力がなくては解決策は見えません。データと言っても、結局は人間なんです。

Rettyを通じて作りたい「食の幸せ」

田中さんがRettyにジョインしたのは2015年。Rettyの社員数が20人程度の頃に、学生だった田中さんはインターンでキャリアをスタートさせました。

最初はユーザーの投稿を増やす施策をひたすら実行し、アプリの企画からWeb版のSEO、サーバーサイドの開発、営業拠点の立ち上げを行うなど、とにかく様々な業務に携わりました。

まさに黎明期からサービスに関わり、紆余曲折を経た2020年の今、田中さんはRettyでどんな未来を見ているのでしょうか。

たくさんのグルメサービスがある中で、「Rettyを使う理由をどんどん増やしていく」というのが、僕がやらないといけないと思ってることですかね。

端的に自身のビジョンを述べたのち、田中さんはRettyが掲げるビジョン「食を通じて世界中の人々をHappyに」を口にして、「食の幸せ」についても言葉を続けました。

国内の飲食店が70〜80万店程度ある一方で、人間の食の回数は一生で8〜9万回と言われています。

全てが外食ではないですし、全部の飲食店に行けるわけもないので、実は1回の食事はとてもレアなものです。でも基本的に食は人にとって当たり前なので、普段はこのレアさを感じません。

Rettyを通じて「いいな」って思える飲食店さんとの出会いがあれば、当たり前に流れていく食の時間が、幸せをかみしめる一瞬になると思っているので、そういう機会をたくさん作っていきたいです。

「食の幸せ」を笑顔で語る田中さんにも、かつて他者の気持ちを汲めず、苦悩した過去を乗り越えたからこそ今があります。

「データと言っても、結局は人間」

田中さんの言葉にもありましたが、誰よりも人のことを考える人こそ、理想のデータマーケティングを体現できるのかもしれません。Retty、そして田中さんの今後の躍進が楽しみでなりません。

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