マーケティングにおいて、今や「データ分析」は欠かせない要素です。
しかし「データ分析」と一口に言っても、Google Analyticsやアドエビスの管理画面を見て簡単にできるものから、要件定義とデータの抽出・加工が必要なものまで様々です。
後者においては1人で完遂したいと思うものの、エンジニアの手を借りないと必要なデータが手に入らないケースもあり、苦い思いをしているマーケターもいるでしょう。
今回お話を伺ったパーソルキャリアの阿部 真幸さんは、マーケターとして活躍しつつ、ひょんなことがきっかけでSQLを学び、少しずつ仕事の領域を広げてきました。
今回は阿部さん自身のキャリアやマーケティング観に迫りつつ、マーケターがSQLを書けるようになると、どんな変化があるのかを聞いてみました。
SQLを書けるようになって起きた変化
SQLに出会ったのは前職の時です。エンジニアから教わり、片手間でデータ抽出に携わっていたところ噂が1人歩きし、「阿部がSQL書けるらしい」と仕事を振られるようになりました。
本当は全然できなかったんですけど(笑)
いかに「コーディングの勉強」と構えても、真剣さが足りなくては意味がありません。本を読んだり、プログラミング学習サービスを受講したりと、選択肢は複数あるとしながらも、阿部さんは実戦の大切さを説きます。
僕も最初は人が書いたコードをひたすら読むだけでした。ひたすら読んで、ちょっといじって自分で書いてみる。その繰り返しです。
ただ実戦だったので緊張感があり、覚えが早かったと思います。実戦の場で人が書いたコードをアレンジして覚えていく、この方法はすごくいいと思います。
SQLを書けるようになった今、書けなかった時に比べてどのような変化があるのでしょうか。
以前はデータがどのような状態にあるのかを、なんとなくしかイメージできていませんでした。データと言っても、何か得体の知れないイメージです。とりあえずこういうデータがあれば分析できると思って、エンジニアに無茶振りするような状態だったと思います。
でもSQLが書けるようになると、データベースにデータがどのように格納されているかを把握できるようになるので無茶振りは減りますし、分析できること・できないことがちゃんと見えてきます。
あとはマーケティング施策を考える人とデータを抽出する人が一緒になるので、施策から次の構想がイメージしやすくなります。施策を実行して取れるデータがわかっているので、その結果から次の施策を考えやすくなるといった意味ですね。
例えばユーザーのイベントログデータを取得する際に、その取得の仕方や格納方法を設計する人と、分析や施策を実行する人が一緒であれば、実現したい成果や施策から逆算することができ、さらには連携や情報共有のすり合わせの手間が省けます。
データ化していない部分に想像力を働かせ、ユーザーに感情移入する
阿部さんは前職での経験を経たのち、現在パーソルキャリアで「iX(アイエックス)」というハイクラス人材のキャリア戦略プラットフォームの事業開発に携わっています。
「iX」は2019年に立ち上がったばかりのサービスです。その中でも私は、「iX転職」という、ハイクラス求人を取り扱うヘッドハンターから転職希望者にスカウトが届く転職サービスに注力しています。
「iX転職」の立ち上がり当初は、マッチングの幅を広げていくためにユーザー数を集めることを優先しましたが、これからはスカウトによるマッチングの「質」を高めていくために、一律のCPAで数を追うのではなく、ユーザーのニーズや志向性、登録後の行動を考慮して最適化していくことに取り組んでいます。
阿部さんのキャリアにおいて初となる転職サービスですが、自身の意外な発見があったそうです。
「iX転職」は転職サービスということで、このサービスを利用する転職希望者は自身の人生を左右する決断をすることになります。
データ分析を担当する私は、決して個人の転職活動に至るまでの背景や、リアルな転職理由などの定性情報を知ることはできませんが、マーケターとしてユーザーの立場になりきって考えていると、データを見ながら感情移入している自分がいました。
「人は悪魔に熱狂する」の松本健太郎さんもよく仰っていますが、あくまでデータが可視化するのは一部分です。
世の中の大半のことはデータ化されていないので、そのデータになっていない部分に想像力を働かせ、ユーザーに感情移入しながら考えるのは良いことだと思います。
ビジネスを推進しつつデータ分析も武器として使う。
パーソルキャリアで初めて経験する転職サービス。意義のある仕事でありながら、マーケターの判断一つで人の人生を変えてしまう緊張感と隣り合わせでもあります。
しかし、阿部さんは今の自分に迷いはないと言います。
僕の強みの一つはデータ分析ですが、そこには天才みたいな人がたくさんいます。そこで勝負するんじゃなくて、ビジネスを推進しつつデータ分析も武器として使える、そういう存在になりたいと思っています。
でも20代の時は自分がどういうキャリアを歩むべきか迷っていました。30歳になって真剣に時間を作って考えた時、自分の方向性が見えてきたんです。だから今は迷いがないし、仕事にストイックに向き合えています。
さらにパーソルキャリアの恵まれた環境も阿部さんの背中を後押しします。
パーソルキャリアにはすでにデータの分析基盤が整っていました。例えばBIツールはTableauやMicrosoftのPower BIも導入されていますし、Pythonで少しコードを書けばデータ量が多くても問題なく加工できます。
データ自体も様々なデータがすでに取れていますし、データ抽出のための専門部隊もいるので、環境はとても恵まれていると思います。
そんなパーソルキャリアで描く個人的な目標は、「人のキャリア形成に役立つサービスを世に送り出すこと」。
阿部さんが紡ぐ未来のサービスが今から楽しみでなりません。
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