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「ファッションの常識をテクノロジーで変える」エアークローゼットCSOの挑戦

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国内初の月額制ファッションレンタルサービスである「airCloset(エアークローゼット)」は2015年2月に誕生し、2020年9月現在では30万人の会員に愛されるサービスとなっています。

事業がスケールした背景の一つに創業当初から見据えていた、データを活用したオペレーションの最適化があります。それは「airCloset Data Science Collection」で公開しているように、顧客体験をより良くする取り組みとして、今も進化を続けています。

「スタイリング提供システム」(特許取得済)の開発や物流の最適化など、幅広く同社を支えるデータサイエンスの強みについて、社長室長 執行役員CSO 兼 マーケティンググループ長である石川桂太さんにお話を伺いました。

データマーケティングとの出会いと失敗

石川さんは学生時代にインドの会計事務所でインターンを経験し、野村総合研究所インド法人に入社。前職では日系企業のインド進出における戦略策定やM&Aの渉外交渉を経験し、エアークローゼットに入社します。

株式会社エアークローゼット
社長室長 執行役員CSO 兼 マーケティンググループ長
石川 桂太様

エアークローゼットに入社した時は2015年6月で、創業1年も経ってないですし、サービスが立ち上がって数ヶ月ほどでした。最初は収益モデルやビジネスモデルなどを整理して事業モデルを作ることをミッションとしており、未経験のBIツールを使って数字に落とし込んだり、それをもとに資金調達も行っていました。

メディアの露出が多く、そのお陰で成長できていたところから、さらなるスピードで成長していくために、マーケティングを重点的に行うようになったのが2018年の4月。そのタイミングで、新規顧客の獲得を最初に始めましたがマーケティングは未経験でした。

入社して3年ほどでアクイジション領域(新規獲得)を取り組むことになった石川さん。データマーケティングとの出会いはここから始まりました。

当たり前なんですけど、どの媒体でどのくらいお金を使ってて、どれだけ獲得できているか可視化するところから進めていたのですが、最初の失敗として、いわゆるデータ計測が全然うまくいっていませんでした。

広告媒体側では結構なCVが取れているのに、社内データベースにその分の会員数が反映されておらず、「よく分からないけど会員数が増えていないなら意味が無いので停止しよう。」ということでWeb広告を全て停止したら、見事に会員数が増えなくなりました。

そこで初めて「広告の貢献度はゼロではない」と気づきました。しかしそもそもデータを正しく計測しないと正しい意思決定ができないと思い、そこを解決できるAD EBiSを導入しました。そういう意味で、初歩的ですがデータを使ったマーケティングと出会ったのはこのあたりです。

アクイジション領域におけるデータマーケティングの面白さは、自分のアイデアを形にした結果、蓋然性があったのか、合理性はどうだったのかの判断がつけやすく、新規施策に取り組みやすいところ、と語る石川さん。

エアークローゼットではより良い顧客体験を実現するために、様々なデータを日々蓄積し、活用しています。社長直轄で素早い意思決定がなされ、データを活用したオペレーションが実装されるため、顧客体験の向上に繋がります。

どのような背景があってデータを活用する体制になったのでしょうか。

あらゆるデータを活用した最適化

そもそもデータサイエンスチームをなぜ作っているのかというと、もともと代表含めて取締役の3人ともIT畑出身で、これからの時代にデータの活用は絶対に求められてくると考えていて、サービスの最初のモデルを設計している時から意識していました。

分かりやすい例で言うと、サービス初期段階からお客様にアイテムをお届けした際のフィードバックをいただいています。デザインや色、着心地やサイズはどうなのか。それ以外にも、もう少し丈が長い方がいい、袖が短い方がいい、といった定性コメントをいただいています。毎回いただくお客様からのお洋服に対するご感想をカルテ化し、常にカルテ更新をしています。

これらのデータをお客様の登録情報と組み合わせることでスタイリングのサポートやお客様とスタイリストとのマッチングなどが実現します。様々なデータが蓄積されるため、回を重ねるごとにスタイリング精度がどんどん上がっていくのが「airCloset」の特徴です。

データ活用はお客様がワクワクする洋服選びにとどまらず、物流の面でも成長の一翼を担っています。「airCloset」では機械学習モデルを活用したレンタルサービスにおける物流の最適化がなされています。

その日に返却するお客様が何人いらっしゃるか、返却後クリーニング工程に回ったらどのぐらいで戻ってくるのかなどを想定して、物量の予測を機械集約系のモデルを使って実現しています。

倉庫で必要な人件費は物量によって変わります。どのぐらい返ってくるか事前に分かっていれば最適な人員配置ができて無駄な人件費を支払わずに済むので、物量予測に関してはかなり高いレベルまでもっていきました。予測に対するズレを上下10%以内には抑えています。

レンタルの場合、発送するだけでなく返却されたものを検品・クリーニングし、格納するという工程が発生します。その分変数が多くなるものを正確に予測できるのは、全てのシステム構築を完全内製化しているエアークローゼットの強みです。

また、汚れや傷などで廃棄になるケースでもデータが活用されます。廃棄になった理由をデータ化することで、廃棄量を減らすための正しい対策を取ることが可能になります。

自分をレールから外して挑戦を続ける

石川さんは常にチャレンジを続けていて、並大抵のことはエアークローゼットの行動指針にも掲げられている「私たちに障害はない」という思いで恐れずに取り組んできました。活躍の裏にはインドでの原体験がありました。

色々なきっかけがあり文化も商習慣も日本と全く異なるインドで就職したこともそうですが、自分をある意味レールから外して「挑戦する」ことは1つのテーマにしています。パイオニアとして挑戦した先には何かあるかもしれない。だから挑戦するんです。挑戦してみたら、意外と大丈夫なんです。生きてはいけるし、なんとかなりそうだなというのが分かりました。

エアークローゼットに入社したのも洋服のレンタルサービスという新しいモデルでイノベーションを起こすための挑戦がテーマだったそうですが、石川さんにとってのイノベーションとは何なのでしょうか。

私はイノベーションには2つしかないと思っています。新しいテクノロジーを作って、それを広げていくものと、お客様の新しいライフスタイルを形作って、そこに人を動かしてくる。まさにエアークローゼットは後者です。

最初はどうやったらこのビジネスで儲かるのか、本当に分かりませんでした。ですが、お客様に対して価値があるモデルで世の中を変えていく可能性があるサービスだと確信していましたし、それをビジネスモデルとして成立させられたら、もし自分が将来何か新しいことをやりたいとなった時でもなんとかできると思いました。

大学在学中に会計士の資格を取得するという一見華々しいレールから敢えて自分を外し、インドでの原体験をもとに今も挑戦を続ける石川さん。

何事にも恐れず立ち向かい、お客様のワクワクを創造し続けるairClosetの大躍進から目が離せません。