コトラーが提唱するPEST分析とは?PESTの意味と、3つの注意点

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PEST分析という言葉を聞いたことがありますか?

3C分析・5F分析など、有名なマーケティングの分析方法は耳にしたことがあっても、PEST分析を耳にしたことがない方は多いように思います。

(あれ?なーんだ。マイナーな分析方法なの?)と思ったあなた。いいえ、決してPEST分析はマイナーな分析方法ではありません。ただ性質上、ポピュラーな分析方法に比べると、主題とするテーマが壮大で、若干イメージしにくい点は否めません。

そこで今回は、コトラーが提唱するPEST分析について、基本的な情報をお伝えしつつ、分析の際の注意点などについて、簡単に解説していきたいと思います。

1. コトラーが提唱するPEST分析とは?

PEST分析は、企業が経営・マーケティング戦略を練る際に、マクロな視点で外部環境を捉え、機会・危機などを予測・分析する手法のことです。

PEST分析はフィリップ・コトラーが提唱したことで有名になりましたが、コトラーは著書の中で「市場を再定義する」ことが重要だとも言っています。

たとえばコカ・コーラはコーラ市場において誰もが認めるNo.1の企業ですが、それをソフトドリンク市場や飲料市場に広げれば、その様相は変わります。

なぜコトラーがPEST分析を提唱するのか?その背景には、PEST分析をすることでマクロな視点で外部環境を捉え、コトラーが重要視する「市場の再定義」をより正確に行うことに繋がるから、といったことも考えられます。

参考:「3分でエッセンスを学ぶ!コトラーのマーケティング理論、6つのTIPS」

2. PEST分析の4要素をわかりやすく解説

それでは、PEST分析について詳しく見ていきましょう。PEST分析は、以下に挙げた要因の頭文字をとってできた言葉で、それぞれ自社にどのような影響を及ぼしているのかを分析します。

  • 政治(Politics)
  • 経済(Economics)
  • 社会(Society)
  • 技術(Technology)

それぞれ見ていきましょう。

2-1. 政治(Politics)

たとえば政権交代で国の方針が大きく転換したり、法律の改正があったり、最近の例だとイギリスがEUを脱退したりといった、政治的な要因を指します。

2-2. 経済(Economics)

たとえば日本でいうと、円安・円高はよく話題になりますね。他には発展めざましいアジアの国々ならGDP成長率、不況の際の失業率など。経済的な要因を指します。

2-3. 社会(Society)

少子高齢化や地方の過疎化など、人口動態にまつわる事案や、犯罪率の増減、教育水準の高低など。広く社会の中で起きている様々な事象からくる影響を指します。

2-4. 技術(Technology)

技術の革新が起こすイノベーションは、時に外部環境に大きな影響を与えます。たとえば最近はフィンテックというキーワードがホットですが、金融にイノベーションが起これば計り知れない影響が出ることは想像に難くないかと思います。

3. PEST分析をする上での注意点

政治・経済・社会・技術といった4つの要因から環境分析をするPEST分析。コトラーが提唱するくらいなら、きっと素晴らしい分析方法だ!・・・と思った方は注意が必要です。

素晴らしい分析方法かもしれませんが、注意点もあります。ここでは、PEST分析をする上での注意点を3つ見ていきたいと思います。

3-1. PEST分析が適切ではないケースがある

これまで、アドエビスマーケラボでは5F分析などをご紹介したきましたが、いくつもある分析手法から適切なものを選ぶことが大事です。

経営・マーケティングの分析方法は星の数ほどあります。まずご理解いただきたいのは、PEST分析が適切ではないケースがあるという点です。

3-2. PEST分析は短期的な視点には立っていない

冒頭で、PEST分析はマクロ環境を分析するための分析手法だとお伝えしましたが、その特性から中長期的な戦略策定に向いています。

つまり、PEST分析は短期的な視点に立った、直近の成果を追求していくケースには合いません。極端な例ですが、たとえばここ3ヶ月で政治・経済・社会・技術で変革が起こるとすれば、それは急激な変革で非常に稀有なケースです。

PEST分析は年単位でダイナミックに変化していく4つの要素を考慮して、長期的に環境を分析するケースに合っています。

3-3. PEST分析はマクロ環境の分析に有効

繰り返しますが、PEST分析はマクロ環境の分析に向いています。

たとえば海外展開するベンダー企業の「東南アジアにおける経営・マーケティング戦略を今後10年に亘って描いてみよう。」といった題目と、ベンチャー企業の「国内スマートフォン広告における本年度のマーケティング戦略」といった題目では、どちらに適しているでしょうか?

マクロ環境の分析が必要なければ、PEST分析を用いる必要はないのです。

今回のまとめ

コトラーが提唱するPEST分析をご紹介しました。規模の大小に関わらず、今やグローバルに展開する企業が右肩上がりに増えている時代です。

もし少しでも興味を持ったら、自社には関係ないと思わず、ぜひ色々調べてみてください!

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