3分でエッセンスを学ぶ!コトラーのマーケティング理論、6つのTIPS

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「マーケティングの発明者」と言われる人物をご存じでしょうか?

正解は、フィリップ・コトラーです。

マーケターであれば、コトラーのマーケティング理論は押さえておきたいですよね。しかし、マーケティング理論と一口に言っても、その実態を説明できる人は少ないのではないでしょうか?

コトラーの功績の1つは、「マーケティング」を体系化したことにあります。

コトラーのマーケティング理論では、顧客が何を求めているかを掴み、商品企画にさかのぼって戦略を立てることを重要視しているように、「顧客」を常に出発点としています。

今回は、コトラーが提唱するマーケティング理論の考え方、戦略について6つのTIPSにまとめました。

コトラーが考えるマーケティングとは?

6つのTIPSに入る前に、コトラーがマーケティングをどのように考えていたのか?その点に触れたいと思います。

コトラーはマーケティングの定義を、以下のように捉えていました。

「ニーズに応えて利益を上げること」

とてもシンプルな定義なので、もう少し詳しい説明が必要ですね。

「どのような価値を提供すればターゲット市場のニーズを満たせるかを探り、その価値を生み出し、顧客に届け、そこから利益を上げること。」

ターゲットを絞り、そのターゲットが求める価値を届けること。これがコトラーが考えるマーケティングです。

出典元:『コトラーのマーケティング・マネジメント ミレニアム版』ピアソンエデュケーション 著者:フィリップ・コトラー 翻訳:恩藏 直人

TIPS1. ターゲットを絞る

それでは、コトラーのマーケティング理論のTIPSをご紹介していきます。

1つ目のTIPSは、前述した通りターゲットを絞ることです。

コトラーは「Segmentation(市場の細分化)」「Targeting(ターゲットの明確化)」「Positioning(他者との差別化)」の3つの頭文字をとったSTP分析を提唱しています。

STP分析では、自分の企業や商品、サービスが他とどう異なるかを明らかにすることで顧客に選ばれることを目指します。顧客のニーズを特定し、競争の舞台となる市場を選択し、ターゲットを絞ることが、マーケティングのスタートであるとコトラーは言います。

ターゲットを絞ることで、対象となる顧客の範囲を狭めているように感じますが、実際には特定のターゲットに向けた強烈なメッセージのほうが、ターゲットとしていない顧客の琴線にも触れることが多い可能性はあります。

その商品・サービスは、誰に届けたいのですか?勇気を持って八方美人にならず、特定のターゲットにとって最高であることを目指しましょう。

参考:
「STP分析とは|Segmentation=細分化で大事なのはアレを作ること?」

出典元:『コトラーのマーケティング思考法』東洋経済新報社 著者:フィリップ・コトラー & フェルナンド・トリアス・デ・ベス 翻訳:恩藏 直人 & 大川 修二

TIPS2. 勝者は顧客が決める

企業は業界の秩序や自社の利益を優先するあまり、顧客の利便性や利益を後回しにしてしまうことがしばしばあります。

こういった状況を、コトラーはこう唱えています。

「今日の売上と引き換えに明日の顧客を失うことがよくある。」

マーケッターが目指すべきは、顧客との長期にわたる相互的関係を築くことであって、単に製品を売ることではありません。

Google創設者のラリー・ペイジも、「顧客やユーザーは常に正しいと考え、彼らにとって違和感のないシステムを作ろうとすべきだ。システムは取り換えられても、ユーザーは取り換えることはできないのだから」と言っています。

当時、Googleを成長させた無料検索エンジンは様々な企業が提供していましたが、他者が広告主に目を向けているのに対し、Googleはユーザーが必要とする情報をできるだけ早く届けることに注力していました。

結果はご存じの通りです。口で言うほど簡単なことではありませんが、競合他社に勝とうとするあまり、顧客が視界から消えてしまうことがないよう、心の奥底から顧客を1番にサービスを考えましょう。勝者を決めるのは、顧客です。

出典元:
『1分間コトラー』ソフトバンククリエイティブ 著者:西村 克己
『グーグル秘録』文藝春秋 著者:ケン・オーレッタ 翻訳:土方 奈美

TIPS3. 価格ではなく価値を売る

低価格競争に陥って消耗する企業が後を絶たないのを見ればわかるように、この情報化社会の時代において「低価格」だけで成功する戦略は長続きしません。

コトラーは「販売は製品が完成してスタートするが、マーケティングは製品が存在する以前にスタートする」と言います。

人々が求めているのは何か、自社は何を提供するべきか。その答えをあらかじめ探り、顧客がどんな価値を求めているかを考えることが、マーケティングのスタートです。

世界一優秀なマーケティング部門でも、価値のない、顧客のニーズに合わない製品を売ることはできません。コトラーは「販売に注力するのではなく、むしろ販売が不要なほど魅力的な製品に注力すべき」と言います。

求められているのは、顧客支援を通じて、「価値を創造する」ことです。そのためにも、顧客のニーズを捉え、価値で優位性のある製品を提供することが大切です。

出典元:『1分間コトラー』ソフトバンククリエイティブ 著者:西村 克己

TIPS4. 自社がいる市場を再定義する

STPマーケティングの「S」つまりセグメンテーションにおいて、コトラーは繰り返し「市場の再定義」を提唱しています。

ターゲットを明確化し、ある市場で高いシェアを握っていたとしても、視点を変えて市場をより広くとらえれば、シェアは10%にまで低下するかもしれません。

たとえばコカ・コーラはコーラ市場において誰もが認めるNo.1の企業ですが、それをソフトドリンク市場や飲料市場に対象広げれば様相は変わります。コカ・コーラの成功はコーラ市場の成功に満足せず、ソフトドリンク市場全体の中で位置づけることで、水を含む様々な飲料水を開発し成長していったことにあります。

あえて大きな市場に自社がいると再定義することで、また新たな成長戦略が見えてくるのです。

TIPS5. 価値ある情報が企業の未来を決める

集める情報が多すぎる、もしくは少なすぎると、間違いを起こしてしまうことがあります。

情報の持つ価値は非常に高いものの、膨大な労力と費用をかけて集めた情報であっても、質が悪く使えない情報ばかりだとしたら、情報の洪水に溺れながら、知識に飢えていることになってしまいます。

コトラーは「いかに価値のある情報を得るかが、企業の未来を決める」と、情報の重要性について語っています。

データ、情報、知識と「知恵」の間には大きな違いがあります。集めた情報を市場で生かせる「知恵」に変え、仕事に生かすことが情報の対処法です。より良い情報を手にし、よい知恵に昇華した企業が、顧客に新しい価値を提供し勝利を手にすることになるでしょう。

出典元:『1分間コトラー』ソフトバンククリエイティブ 著者:西村 克己

TIPS6. イノベーションを行わないことは破滅につながる

コトラーのマーケティング理論、最後のTIPSは「イノベーションを行わないことは破滅につながる」です。

企業はイノベーションを起こすために、たくさんのアイデアを生み出す必要があり、失敗が多いからと諦めてしまったら、破滅の道を歩むことになります。

コトラーは「企業はアイデアをとらえる網が用意されていない」と言い、すべての社員や組織全体から、創造的なアイデアを生む必要性を説いています。

また、コトラーは「イノベーションを導入するためには、現時点ではうまくいっているものを変えなくてはならないことが多い」と言っていますが、本田宗一郎は同じようなことを、「モデルチェンジは売れている時にやれ」といった言葉で表現しています。

今のやり方を変えなければならないことには強い抵抗感があります。しかし、うまくいっている時にイノベーションを起こす勇気こそが、次なる躍進を呼び込むのです。

出典元:
『コトラーの戦略的マーケティング』ダイヤモンド社 著者:フィリップ・コトラー 翻訳:木村 達也
『会社のために働くな』PHP研究所 著者:本田 宗一郎

今回のまとめ

今回ご紹介した6つのTIPSは、あくまでフィリップ・コトラーのマーケティング理論のエッセンスに過ぎません。

しかし、こうした考えの端々を心に留めることで、いつの日か必ずあなたが描くマーケティング戦略に一筋の光を与えることになるでしょう。

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