6つのオムニチャネル事例に見る海外と国内オムニチャネル事例の違いとは?

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メイシーズがオムニチャネル戦略を宣言したのは2011年、日本でオムニチャネルという言葉が注目され始めたのは2012年頃です。

5年の月日が経って様々な事例が出ている一方で、テクノロジーの進化は常に起こり新しい事例も出ています。そこで今回は、戦略を学ぶにあたって事例をいくつかピックアップしたいと思います。

国内事例は、セブンイレブン・ユニクロ・無印良品を筆頭に、すでに様々なところで紹介されているので、今回は2年も3年も進んでいると言われる海外事例を3つと、新たにみずほ銀行・資生堂・TSUTAYAの3つの事例を加えた合計6つの事例をご紹介します。

そして最後に簡単にではありますが、海外事例と国内事例の違いを考察したいと思います。もし参考になりそうな良い事例があったら、ぜひブックマークしてください!

1. オムニチャネル戦略とは?

まずは事例に入る前に、オムニチャネル戦略について簡単に復習しましょう。

オムニチャネル戦略とは、商品・サービスの提供側と顧客とのあらゆる(omni)接点を活用して、シームレスな顧客体験を提供する戦略のことです。

あらゆる接点とは、店舗・カタログ・DMに限らず、デジタルサイネージや、ECサイト・アプリも含みます。かつPC・スマートフォン・タブレットといった多様なデバイスもあるので、各デバイスでもクオリティを変えずに良質な顧客体験を提供することが求められます。

以前の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

「オムニチャネルとは?わかりやすい言葉の定義&解決すべき2つの課題」

オムニチャネル海外事例3選

ここからは、オムニチャネルの海外事例をご紹介していきます。

国内事例に比べて、デジタル技術を駆使して包括的に顧客にアプローチしている印象があり、特にRebecca Minkoffの事例はチェックして損はありません。

1. 小売のオムニチャネル事例:Rebecca Minkoff

ニューヨークのアパレルブランドRebecca Minkoffは、ソーシャルメディアの活用をはじめ、フィッティングルームの鏡をIoT化したIoT事例など、デジタルマーケティング戦略において先鋭的な取り組みを多数行っています。

出典:「The Future of Omni-Channel Retail: Emily Culp of Rebecca Minkoff」動画内スライドより抜粋

Rebecca Minkoffはオムニチャネル戦略の取り組みも秀逸で、オンラインサイト・アプリ・店舗・イベントなど、あらゆるタッチポイント経由で取得したデータを元に、顧客の消費行動の深層心理を推察してマーケティングに活かしています。

まさにオムニチャネル戦略のお手本のような構想を描き、ここまでマーケティング戦略に落とし込んでいる企業は、国内ではまだ多くの例はなく非常に参考になります。

2. 銀行のオムニチャネル事例:Bank of America

出典:iOSアプリ「Bank of America – Mobile Banking」

つづいては金融・銀行のオムニチャネル事例です。Bank of Americaはアメリカはノースカロライナを本拠地とする銀行で、大企業かつ金融という慎重さが特に求められる業種ながら、積極的にITを取り入れ、オムニチャネル戦略を推し進めている企業です。

銀行ゆえに求められる堅牢なセキュリティを保持しつつ、あらゆるデバイスで共通の顧客体験を提供し、店舗に行かずとも預金ができるといった基本的な機能に加えて、Apple PayやAndroid Payと連携したアプリの決済機能もリリースされています。

銀行というリアル店舗の接客サービスで顧客の課題を解決しつつ、対面しなくてもデジタルで解決できる領域を積極的にIT化していくBank of Americaの迅速な動きは、同じ金融業界でなくても参考になる事例です。

出典:
Mobile Banking from Bank of America
Tech Crunch「Apple Pay Is Coming To ATMs From Bank Of America And Wells Fargo」

3. Sephor

出典:iOSアプリ「Sephora to Go」

海外事例3つ目は、香水や化粧品を扱う専門店Sephora(セフォラ)の事例です。

Sephora はソーシャルメディアやメールマーケティングを通じて、積極的に「特にロイヤリティが高い顧客」に対してアプローチすることで、エンゲージメントを高めるマーケティング戦略を持っています。

アプリのダウンロード数を上げて、以下のような顧客とのタッチポイントを意図的に創出しています。

  • モバイルサイト
  • アプリ
  • iPad
  • Passbook、モバイルのギフトカード
  • Pinterest / Instagram
  • POSシステム
  • 店舗内のバーコードスキャン

出典:Business 2 Community「Sephora Makes Mobile the Ultimate Personal Shopper」から抜粋し、翻訳・一部編集

Pinterest、Instagramといったソーシャルメディアを特に活用しているあたり、ファッション好きな女性の心を掴んで成功している事例だと言えるでしょう。ただ実はデータ戦略においても秀逸で、タッチポイントで得た顧客データをしっかりと活用しています。

具体的には各顧客に紐付いた過去の閲覧データ、購入データや大量のトラッキングデータから、最適な商品のリコメンデーションを実現したり、ロイヤリティプログラムを促進したりしています。多様化する顧客とのタッチポイントから自社のマーケティングに必要不可欠なものを選別して、集中的にアプローチしている点は特に参考になる事例です。

出典:
Mappazine「3 Omni-Channel Marketing Campaigns that Beat the Competition」
Hubspot「7 Inspiring Examples of Omni-Channel User Experiences」

この他にも、以下の海外事例があるので「オムニチャネル戦略の海外・国内事例6選!成功に導く3つのポイントとは?」もぜひ参考にしてください。

  • メイシーズ
  • スターバックス
  • ディズニー

オムニチャネル国内事例3選

ここからは、オムニチャネルの国内事例をご紹介していきます。

前回、セブンイレブン・ユニクロ・無印良品といった有名な事例をお伝えしたので、今回は幅を広げて金融・化粧品メーカー・小売のオムニチャネル事例をご紹介します。

1. 金融のオムニチャネル事例:みずほ銀行

みずほ銀行

近年オムニチャネルだけではなく、IoTやフィンテックでも注目を集める金融機関といえば、みずほ銀行ではないでしょうか?

最近ではPepperを店頭に導入したり、LINEで簡単に残高紹介ができるサービスをリリースしたりと、先鋭的な取り組みを多数して何かと話題をさらっています。

顧客とのオンラインにおけるタッチポイントの1つは、みずほ銀行アプリです。このアプリでは、ほぼ24時間にわたり残高照会・お振込・お振替・口座開設もできます。

営業時間が短かったり、長蛇の列で待ち時間が長かったりと、銀行のサービスに不満を持ったことがある方も、アプリでオンラインの顧客体験が向上すれば補完的に満足度を高めることができます。

2. 化粧品メーカーのオムニチャネル事例:資生堂

資生堂

資生堂は、オンライン戦略の一環として2012年に「ワタシプラス」をスタートしました。開始当初はポイント制度において混乱が見受けられたようですが、様々なキャンペーンを展開し、地道にコンテンツを更新することで、会員数は200万人を突破しました。

美容に興味を持つ潜在顧客にオンラインでアプローチして、リアルな場所でさらなる接点を持つO2Oの試みは長期的な施策ではありますが、地道な積み重ねが成果を生むものです。

さらに資生堂はオンラインで潜在顧客に地道にアプローチを続ける一方、会員IDの統合やYahoo! DMPとのデータ連携、Salesforce Marketing Cloudの導入など、デジタルマーケティングにも力を入れています。

オンラインで潜在顧客にアプローチしてO2O施策にチャレンジしつつ、蓄積した顧客データを活用してフリークエンシーを高め、顧客のエンゲージメントを高める手法は、世に出ている国内オムニチャネル戦略事例の中でも秀逸なものだと言えるでしょう。

出典:
24hour IT PEOPLE「資生堂は、データ活用に本気で取り組みます。」
株式会社資生堂、顧客接点を変革するSalesforce Marketing Cloudを導入

3. 小売のオムニチャネル事例:TSUTAYA

TSUTAYA

TSUTAYAも古くからオムニチャネル戦略に取り組んでいる企業の一つです。TSUTAYAという全国1,400を超えるリアル店舗を持ちながら、TSUTAYA DISCASやT-SITE、TSUTAYA TVといったオンラインでの顧客との接点も多くもっています。

TSUTAYA DISCASやT-SITE、TSUTAYA TV

※すべてのアプリ、最新のアプリではありません。

アプリも数が多く、店舗検索・在庫検索・クーポンによる店舗への送客や、店舗に行かずともネットでレンタルができるといった利便性もさることながら、充実したコンテンツが顧客を「音楽を聴きたい」「映画を観たい」という気持ちにさせています。

また、海外からわざわざ人々が訪れるほど”場”としての魅力もある蔦屋書店・蔦屋家電は、TSUTAYAが提供する顧客体験を総じて高めています。まさにTSUTAYAは、あらゆる(オムニ)チャネルで顧客価値を高めるオムニチャネルの好例の1つだと言えるでしょう。

今回のまとめ

今回は、新たにオムニチャネルの海外事例・国内事例をそれぞれ3つずつご紹介しました。

海外事例を国内事例と比較すると、PC・スマートフォン・タブレットはもちろんのこと、店舗に設置したデジタルサイネージやフィッティングルームの鏡に至るまで、顧客とのあらゆるタッチポイントを包括的にマーケティング戦略に落とし込んでいます。

国内事例も様々な取り組みが出てきましたが、まだ「シームレスな顧客体験」を提供している事例は海外ほどは見受けられません。

しかし一方で、セブン&アイグループが推し進めるオムニチャネル戦略は、海外事例のように一業態が取り組むオムニチャネルとは異なり、様々な業態が連携して実現しようとしています。よってセブン&アイグループのオムニチャネル戦略が成功すれば、世界でも有数の秀逸な事例となるでしょう。今後も海外・国内の動向を見ていきたいと思います。

こちらもぜひ参考にしてください。
「セブン&アイグループのオムニチャネル戦略|知っておきたい8のポイント」

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