オムニチャネル戦略の海外・国内事例6選!成功に導く3つのポイントとは?

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前回、オムニチャネルの基本的な説明をしたので、今回はより詳しくオムニチャネル戦略を見ていきたいと思います。
「オムニチャネルとは?わかりやすい言葉の定義&解決すべき2つの課題」

オムニチャネル戦略と言えば、海外では先行してメイシーズがいくつもの成功事例を出してきました。国内ではセブンイレブンがオムニ7などで話題をさらっていますが、その他にはどんな事例があるのでしょうか?

そして、何よりオムニチャネル戦略を成功に導くために、どのようなポイントがあるでしょうか?もちろん事業体や規模によって、成功の定義は異なりますし、予想だにしない様々な課題は出てくることと思います。

しかし、オムニチャネル戦略のコンセプトである、「シームレスな顧客体験」を提供するためには、共通する成功のポイントがあります。

今回、3つ挙げてみたのでぜひ参考にしてみてください。

1. オムニチャネルとは?

前回のおさらいとなりますが、オムニチャネルとは一体なんでしょうか?

オムニチャネルが目指す世界観は、オンライン・オフライン問わず様々なチャネルを通じて、顧客に対して「シームレスな顧客体験」を提供することだとご紹介しました。

店舗・カタログに限らずオンラインでも、そして様々なデバイスからでも、あらゆる(オムニ)チャネルを通じて、商品・サービスと顧客の接点を作り、「シームレスな顧客体験」を提供する取り組みがオムニチャネルです。

2. オムニチャネル戦略を成功に導く3つのポイント

では、企業がオムニチャネル戦略を成功に導くためには、どんなポイントがあるのでしょうか?3つ挙げたので、順番に見ていきましょう。

2-1. 顧客IDの統合

1つ目のポイントは顧客IDの統合です。

オムニチャネルの課題としても挙げましたが、顧客IDが統合できていないと「シームレスな顧客体験」は実現しません。

オンラインで予約した商品の店頭受け取りや、来店した顧客へのデジタル施策など、顧客IDが統合されていることで、初めてオムニチャネル戦略が目指す「シームレスな顧客体験」が提供可能となります。

2-2. 在庫の一元管理

2つ目のポイントは、在庫の一元管理です。

顧客の購買行動は、店舗に加えてオンラインショッピングもあるので、店頭で顧客が商品を購入するのとほぼ同時に、オンラインで注文が入ることもめずらしくありません。

「あるはずの商品がない」といった事態は、顧客にとって不愉快な体験です。

そういた事態を避けるためにも、店頭在庫とオンラインの在庫情報が同じデータベースを参照している状態、つまり在庫の一元管理ができている必要があります。

2-3. 店舗とオンライン施策の運営面での連携

3つ目のポイントは、店舗とオンライン施策の運営面での連携です。

顧客IDの統合や、在庫の一元管理がスムーズに行われていたとしても、店舗もオンライン施策も、人が行うオペレーションが肝心です。

具体的には、「アプリインストールで10%オフ」「QRコードでクーポンを読み込む」といったオンライン施策を、しっかりと店舗スタッフに共有・教育したり、店舗側の繁忙期やセールといった事情を考慮してオンライン施策のスケジュールを組むといったことです。

毎日のように予期せぬことが起こる店舗で、スタッフは常に顧客と相対しています。オンライン施策が机上の空論にならないように、また顧客不満足を生まないように、店舗と運営面での連携を上手に取ることは、オムニチャネル戦略が成功するポイントです。

3. オムニチャネル戦略の海外・国内事例6選

さて、オムニチャネル戦略について理解が深まったところで、海外と国内の事例を見ていきましょう。3つずつ、合計6つの事例をピックアップしました。

3-1. 海外事例

まずはメイシーズ・スターバックス・ディズニーの、3つの海外事例を見ていきましょう。

メイシーズ

海外のオムニチャネル事例として、真っ先に挙げられるのがアメリカの大手百貨店、メイシーズです。

メイシーズは2011年の時点で、店舗で欠品があった場合に、オンラインショップの在庫を配送する仕組みを持っていました。そして2012年には、逆にオンラインショップの欠品を店舗から配送する仕組みを確立しています。

さらにメイシーズは2016年現在に至るまでに、使いやすいWebサイトはもちろんのこと、スマートフォンをはじめとする各デバイス向けに、幾つかのアプリをリリースしています。

Buy online pick up in store webサイト

出典:Hubspot「 3 Companies Creating Perfect Omnichannel Ecommerce Experiences」

「Buy online pick up in store」というサービスでは、顧客がオンラインショップで注文した後でも、店舗で受け取ることができます。店舗の在庫とオンライン在庫の一元化ができているので、顧客にとっては、安心して最適な選択肢をチョイスすることができますね。

スターバックス

続いての海外事例は、スターバックスです。

CEOのハワード・シュルツは、よく「スターバックスが提供しているのはコーヒーではなく、居心地の良い空間だ」と言います。この言葉から分かることは、スターバックスがただコーヒーを売るのではなく、「素晴らしい顧客体験」を提供する会社であること(少なくとも、そうであろうとしていること)です。

オムニチャネル戦略においても、スターバックスは顧客体験を大切にしています。

スターバックス webサイト

出典元:PYMNTS.com「Starbucks Mobile Order & Pay Has 8M Monthly Transactions」

アメリカのスターバックスが提供するモバイル注文・決済サービスは、2016年4月時点で月間の取引件数が800万に達したことを発表しました。

この成功の要因は、いったいどこにあるのでしょうか?

米Forbesがピックアップした意見は、ハワード・シュルツが成功の一因を「顧客の継続的な利用を促すリワード(報酬・ご褒美)にある」と言っていると主張します。

しかしリワードだけではなく、スターバックスがオムニチャネル戦略を通じて、「素晴らしい顧客体験」を提供しようとする姿勢が功を奏しているのかもしれません。

ディズニー

顧客体験を大切にする企業といえば、ディズニーも忘れてはなりません。当然、オムニチャネル戦略においても、同社は顧客に「夢と魔法の国の体験」を提供しようとしています。

ディズニー webサイト

それはデジタル戦略にも表れており、ディズニーで過ごす一日をデジタル体験でより素晴らしいものにすべく、同社はスマートフォンでもタブレットでも同じように、アプリを通じて来園者にシームレスな顧客体験を提供しようとしています。

ディズニー webサイト

このアプリは、GPSで自分の位置がわかるマップを提供したり、ディズニーキャラクターが出現する場所や時間を教えてくれたり、チケットを予約したりと、オンラインとオフラインの双方の体験をより良いものにしています。

3-2. 国内事例

それでは、ここからはオムニチャネル戦略の国内事例を見ていきましょう。セブンイレブン・ユニクロ・無印良品の3つをピックアップしました。

セブンイレブン

オムニチャネル戦略の国内事例といえば、セブンイレブンを真っ先に思い浮かべる方が多いと思います。

セブンイレブンは、前会長である鈴木敏文氏の頃から一貫してオムニチャネル戦略に取り組んできましたが、最近その動きをさらに活発化しています。

オムニ7 webサイト

2015年11月に「オムニ7」というポータルサイトを開設して、2016年5月には店舗の接客端末を、セブンイレブン全店に導入することを発表しました。

すでにオムニ7開始後に店頭での受取率が伸びているとの情報もあり、顧客の認知が上がっていけば、今後も利用率が上がっていく予見もあります。同社が描くオムニチャネル戦略は、着実に実行に移されているようです。

出典元:ニュースイッチ「セブン-イレブン、オムニ戦略じわり。鈴木前会長の方針をやり続ける」
ネットショップ担当者フォーラム「セブン&アイ「オムニチャネル戦略を収益の柱に」、オムニ7の成果が出始めた」

ユニクロ

ユニクロも同じくオムニチャネル戦略に力を入れていて、最近ではセブンイレブンとの連携が話題を呼びました。

2016年2月に同社のプレスリリースで発表があり、ユニクロ公式オンラインストアで購入した商品は、最寄りのセブンイレブンで受け取ることが可能になったのです。

もちろんこれだけでは終わらず、ユニクロは次々と物流センターを開設してネット販売に力を入れつつ、2016年秋には新オムニチャネル戦略「デジタルフラッグシップストア」をスタートする予定があります。

現時点では、まだ海外事例に比べて先進的な取り組みをしている印象はありませんが、今後の動きに注目していきたいところです。

出典元:通販新聞「ファーストリテイリング、有明をオムニ拠点に、ネット比率30%目指す」

無印良品

最後は、無印良品のオムニチャネル戦略をピックアップしました。

無印良品を展開する良品計画は、ソーシャルメディア・メールマーケティングと店舗を連携するなど、先駆的な事例を多く世に出し、満を持して2015年3月にスマートフォンアプリ「MUJI passport」をリリースしました。

無印良品 webサイト

「MUJI passport」を使うと、買い物やチェックインでMUJIマイルが貯まり、このマイルをポイントに変えてショッピングで使うことができます。また店舗の在庫検索も可能なので、顧客は在庫がある最寄りの店舗を探して、実際に商品を手に取ることもできます。

「新しいお買い物体験を。」のコンセプト通り、「MUJI passport」はオンライン・オフラインをシームレスに繋げる、新しい顧客体験を提供しています。

出典元:SAPジャパン ブログ「良品計画が挑戦するデジタルマーケティング。CRMを駆使して「顧客時間」に入り込む」

今回のまとめ

今回、オムニチャネル戦略について6つの事例をピックアップしましたが、現時点ではどれも大企業が大きな予算で仕掛けるものばかりです。

企業は自社の規模や事業に合う戦略を立て、まずは店舗が既存の顧客体験を損なわないようにオペレーションを改善しつつ、すこしずつデジタル領域との連携を図っていくことが求められるでしょう。

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