「データは常に正解じゃない」heyのデータアナリストの仕事と求められる特性とは?

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「データアナリスト」と聞いても、その実態を知る人は多くないでしょう。

希少な存在である一方で、近年データ分析の重要性が上がる中で注目される機会が増えてきたのもまた事実です。

今回は「Just for Fun」をミッションに、ネットショップ開設「STORES」、キャッシュレス決済「STORES 決済」、オンライン予約システム「STORES 予約」を開発・提供する、ヘイ株式会社(hey)の西村 純さんに話を伺いました。

論理的で冷静、ともすれば機械的なイメージすらある「データアナリスト」の実態に迫ると、意外な思考や独特な感覚が垣間見えてきました。

データを見る文化を組織に根付かせる

僕がheyに入った時は「データアナリスト」はいませんでした。

僕がデータアナリストの1人目として会社から求められたのは、ちゃんとデータを見る文化を組織に根付かせることです。

ヘイ株式会社 西村 純 様

それまではプロダクトマネジャーやビジネスサイドの人が、簡単なSQLなどを使って自力で抽出できる数字を見ていたのですが、分析の設計や数値の解釈に関してはあまり意識が向けられていませんでした。

そこはデータアナリストが強い部分なので、一つずつ整えていった感じです。

「データを見る文化を組織に根付かせる」。口で言うのは簡単ですが、一朝一夕で組織が変わるわけがありません。西村さんはメンバーにもっとデータを見てもらうために、気をつけていたことがあると言います。

「データに関することは何でも気軽に相談してください」と、みんなに繰り返し伝えました。

データアナリストやデータサイエンティストって、近寄りがたい存在だと思われていますよね。相談に行ったら難しいことを言い出すんじゃないか、と思われている。

実際にそういうは人いますし、ある特定のスキルに尖っている人もいるからいいのですが、僕はその間をつなぐ役割で重宝されることが多いです。だからとにかく風通しをよくすることを心がけました。

西村さんは1年という年月をかけて組織への働きかけを繰り返し、heyにデータ分析の土壌となる文化を醸成していきました。それでは実際にデータアナリストとして、西村さんはどのような仕事をしているのでしょうか。

データアナリストの仕事と求められる特性

メンバーからの相談で多いのは「こういう数字、取れますか?」みたいな、単純な抽出に関することなのですが、SQLをたたいてデータ抽出をすることだけが僕らの仕事ではありません。そのデータを抽出する前には分析設計があります。

例えば施策を走らせることで起きる変化を想定して、どのポイントを見ればよいかを明確にしたり、見たい変化に対して統計的に有意差が出るように必要なデータ量を算出したり、それにともなって施策の期間を変えたり、といったことです。

実際に施策が走ったあとも効果測定をして、結果として出たデータの解釈までやります。なのでどちらかと言うと、データ抽出の前後をより大事にしています。

データから得られる指標はいっぱいあるのですが、そもそもどの数字が我々の施策で改善できる、つまりレバーとなる数字になるのか。その取捨選択をプロジェクトマネージャーや経営陣との会話を通して行うことで、チームの意思決定のスピードを上げるのも大事な仕事ですね。

西村さんはデータアナリストに求められる人としての特性についても、言葉を続けました。

僕自身「常に疑う」というスタンスは大事にしています。

自分のアウトプットもそうですし、みんなが言っていることも同じくです。みんな頑張って考えていますが、本当にそれでいいのか、改めて考えるようにしています。

その時に立ち戻るのは、大目的です。発言した人の話が小目的にあたるものであれば、中、大とさかのぼった時に目的がズレていないかを見ています。

あとはちゃんと大きなところから見れるかどうか。僕が見ていてセンスがいいなって思う人は、体系化された全体を把握した上で、施策の立ち位置や自分の立ち位置を理解しています。

だからその先どんな未来があるか、何を吸収していけばいいか、サービスがどう進んでいけばいいか、みたいなことが、ある程度わかった上で今のことができるのです。

データは常に正解を言ってるわけじゃない

「常に疑う」という言葉が出てくる背景には、過去の経験が影響しているのでは。そう思って質問すると、西村さんはしばらく考えたのち、何かを思い出すように静かに語りました。

僕はもともとデータによる意思決定にジレンマを感じてたんです。データってめちゃくちゃ強いじゃないですか。「お客さんが喜んでます」より、「5%が6%に上がりました」の方に引っ張られてしまいますよね。

前職のヤフーにいた時、UXデザインやUXリサーチに興味をもって勉強していたのですが、その過程で宣伝会議のコピーライター講座を受けました。

そこでユーザー理解の過程を学ぶと、データで見えるものと実際にお客さんが感じている感情って、ずれることもあるなって気づいたんです。

その気づきから、データは別に常に正解を言ってるわけじゃないし、データだけで判断するのはすごく恐いと感じました。その時の経験から常に疑う目を持つようになりましたね。

heyは「STORES」に加え、「STORES 決済」、「STORES 予約」の3つのサービスを展開し、西村さん率いるチームは全てのサービスのデータ分析を担っています。

メンバーも増え、任されることが増える中で、西村さんは今後の展望をどのように考えているのでしょうか。

将来的にはデータチームというより、「ユーザー理解」を掲げたチームになっていきたいと思っています。その中でUXリサーチ手法やデータ分析、定性的な調査を掛け合わせて、STORES オーナーさんの解像度を上げることが、僕のやりたいことの根底にあります。

西村さんは「ただー」と言葉を続けました。

ただ最近そう言う人、増えていますよね(笑)

だからまずはデータアナリストのチームとして、ちゃんとデータ分析の手法や統計に強いチームをつくってデータで貢献したいです。定性的な分析やそれらの組み合わせで貢献するというのが、逃げにならないように。

そのためにも今はデータアナリストとして尖っていきます。

データアナリストでありながら、データ以上にユーザーと向き合い、心情を理解しようと努める西村さんの目には、確かな覚悟とブレない信念が宿っていました。

「逃げずに尖る」。新たな局面を迎えたheyと西村さんの動きに、これからも大きな期待が寄せられます。

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