ここ数年「エンゲージメント」や、「エンゲージメントマーケティング」という言葉をよく耳にしませんか?
何となく意味・概念を理解して使っていても、実際に詳しく説明を求められると言葉につまる方も多いのではないでしょうか。
今回は、インターネットの登場やSNS、スマートフォンの普及とともに、多くの企業に注目されつつある「エンゲージメント」という概念について、国内外の事例を挙げながらわかりやすく解説していきます。
1. エンゲージメントとは?
エンゲージメントと聞くと、「エンゲージメントリング」を真っ先に思い浮かべる方が多いでしょう。ご存じの通り、これは婚約指輪を指します。
エンゲージメントは婚約だけではなく、忠誠や約束といった意味合いを強く持ち、時に企業への忠誠を測る意味合いで、組織管理に用いられることがあります。
マーケティングにおいても本質は変わらず、関係が企業(売り手)と顧客(買い手)になります。詳しくは「エンゲージメントの意味とは|未来のデジタルマーケティングの鍵を握る?」を参考にしてみてください。
2. エンゲージメントを高めることで得る効果とは?
では、顧客のエンゲージメントを高めることで、どのような効果が期待できるでしょうか?
多くの場合、企業のサービスや製品、ブランドに対して興味を持った顧客は、Webサイトの再訪が増え、SNS上のサービスを拡散する機会が増加します。つまり、企業が自発的に行動しなくても、顧客が自ら企業について知りたがるようになります。
これはエンゲージメントが向上した顧客のみに、影響がとどまるものではありません。
SNSにおける共感は、”拡散”が期待できるのも大きな特徴です。オフラインの時代は、口コミが広まるためには、マスコミの力が不可欠でしたが、現代においてその影響力は自ら作り出すことができます。
昨今はマーケティングにおいて、よりコンテンツがが重視されるようになりましたが、もちろんコンテンツでもエンゲージメントは重要な要素です。
参考:
「コンテンツマーケティングで見るべき指標はエンゲージメントだ」
3. Web広告におけるエンゲージメントとは?
Web広告においても「エンゲージメント」という言葉が使われることがあります。以下2つは聞いたことがある方も多いでしょう。
- Googleのエンゲージメント広告
- Facebook(における)エンゲージメント
上記は、顧客とのエンゲージメント向上に関する文脈とはやや異なるので、注意が必要です。
3-1. Googleのエンゲージメント広告
Googleは「エンゲージメント広告」という枠を、数年前から導入しています。これは、ユーザーが広告にマウスオンしてから2秒が経過すると、自動的に広告が拡張し、動画やデジタルカタログになるといったサービスです。
顧客との関係性構築に向けた仕掛けではありますが、「エンゲージメントマーケティング」という俯瞰的な考え方をする上では、混同すべきものではありませんので、注意してください。
3-2. Facebookにおけるエンゲージメントとは?
Facebookは、独自でエンゲージメント指標というものを決定しています。
「(投稿に付いたいいね!数+コメント数+シェア数およびクリック数)÷ 投稿のリーチ数」がその指標です。
あくまでFacebookが決めている独自指標ですので、この指標をそのまま自社のエンゲージメントと同義にするのは注意が必要です。
4. エンゲージメントマーケティングの事例4選
ここまで「エンゲージメント」について解説してきましたが、国内外の事例として、ザッポス、スターバックス、パタゴニア、Tokyo Otaku Modeについて紹介していきます。
4-1. ザッポス
まずはアメリカの企業、ザッポスです。靴の通販がメインですが、その存在は通販業界の巨人Amazonを脅かしました。
同社は通販業界では珍しく、自前で巨大なコールセンターを持ち、電話対応による顧客との対話に力を入れています。
たった1人の顧客に何時間も電話で対応するなど、採算を度外視したカスタマーサポートを展開した結果、顧客のエンゲージメントを高めるだけではなく、ザッポスのブランディングに大いに寄与しました。
最終的にAmazonに買収された後も、ザッポスは圧倒的な顧客満足度の獲得、そしてリピート購入率を誇る通販企業として君臨しています。
4-2. スターバックス
スターバックスも、「エンゲージメントマーケティング」に秀でた企業です。店舗を、顧客にとって居心地の良い場所として提供することで、同社に対する顧客の帰属意識は自然と高まります。
また、従業員に徹底している笑顔での挨拶や、店内の高級感、そしてコーヒーが出来上がるまでのワクワク感は、人々の記憶に強く残り、コーヒーが飲みたいと思えば、スターバックスを思い浮かべるようになります。
My Starbucks Idea webサイト
また同社は2008年にMy Starbucks Ideaと言うWebサイトを作り、顧客がアイディアを投稿し、スターバックスがそれに答える場を作りました。オンラインの特性である双方向のコミュニケーションを通じて、顧客のエンゲージメントを高めた好例だと言えます。
4-3. パタゴニア
パタゴニアは、自社のブランド価値や製品に関するPRが、実に上手い企業です。コンテンツマーケティングと言う言葉が広く知られる以前から、カタログで秀逸なコンテンツを顧客に向けて発信してきました。
パタゴニア webサイト
現在Webサイトには、創業から現在に至るまでのストーリーが描かれているほか、FacebookページではCSRに関する取り組みが描かれており、顧客のエンゲージメントを高めるとともに、安心感を提供しています。
また同社製品を使用した、クライミングやフィッシングなどアウトドア関連の投稿は、コンテンツとしてのクオリティが高く、こうしたカテゴリに興味を持つユーザーを魅了します。結果的に、顧客はいつの間にかパタゴニア製品が欲しくなり、購買に至るのでしょう。
4-4. Tokyo Otaku Mode
日本のオタク文化を世界に発信するスタートアップTokyo Otaku Modeの「エンゲージメントマーケティング」にも注目です。
売上はECサイトの運営が主ですが、その購買意欲を促進するための仕掛けとして、自社Facebookページを運営しています。
コミケやポケモンといったメジャーなものから、ニッチなものまでを紹介するページのいいね!数(見込み客)はグローバルで1,900万にも迫る勢いで、今もなお成長を続けています。
ただ物を売るだけのECサイトとは一線を画し、顧客を商品やブランド自体のファンにしていく背景には、同社の情熱や想いが見え隠れします。
今回のまとめ
顧客のエンゲージメントを高めるといっても、一朝一夕でできるものではありません。
ただデジタルデバイスやSNS・Webメディアが隆盛を極める今の時代、エンゲージメントを高める必要不可欠なものとなります。
ビジネスにおいて、増収や利益といった経営指標ももちろん重要ですが、それらの元となる見込み客を多く獲得するために、あなたの職場でも「エンゲージメントマーケティング」を導入してみてはいかがでしょうか?
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