スターバックスの知られざる強みって何?バリューチェーン分析から考える

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IT企業を始めとするグローバル企業が台頭し、世の中のビジネスの流れはさらにスピード感を増しています。

消費者は、世界中のマーケットから欲しいものを、納得できる価格で購入することができるようになり、商品やサービスを見極める目はさらに厳しくなりました。

そんな中、自分たちの企業はどのような方向に舵を取っていくべきなのか、重要視すべき活動は何なのか?そういった疑問に、マーケターは毎日のように頭を悩ませています。

今回は、そんなマーケターの有効な羅針盤となる、「バリューチェーン」というマーケティング分析のフレームワークをご紹介します。

そして最後に、スターバックスのバリューチェーンを分析します。スターバックスの知られざる強みって一体なんでしょうか?

1. ポーターが提唱するバリューチェーンとは?

バリューチェーンは、1985年に経営学の巨匠、マイケル・E・ポーターが著書『競争優位の戦略』の中で提唱したことから名を知られるようになりました。

バリューチェーンの解説は、こちらが分かりやすいので引用します。

バリューチェーンとは、事業活動を機能ごとに分類し、どの部分(機能)で付加価値が生み出されているか、競合と比較してどの部分に強み・弱みがあるかを分析し、事業戦略の有効性や改善の方向を探ること。

出典:グロービス・マネジメント・スクール 「バリューチェーン」

このように、事業の活動を細分化し、事業の優位となる強みを把握することから、事業戦略を考えるために必要な分析方法として知られています。

このバリューチェーン分析を行うメリットは、自社及び競合に対して行う事で、市場の変化、消費者のニーズなどの外的要因により、競合が次にどう動くのかを予測すると共に、自社の強みの整理が可能となる点にあります。

2. バリューチェーンの最初の工程|主活動と支援活動

バリューチェーンを分析する際は、まず最初に事業の活動を、主活動と支援活動に分類します。

主活動:原材料などの購買、製造、出荷物流、販売・マーケティング、アフターサービスなどの直接活動。

支援活動:主活動を支える総務、経理、人事・労務、技術開発などの間接活動。

主活動は、製品の企画から、販売、アフターサービスにいたる事業活動の連鎖的な組み合わせを指しているので、業界によって様々な構成が考えられます。

ここから、主活動と支援活動のどの活動が価値を生み、どこが無駄なのかを見極め、整理してコスト削減の可能性を考えていくのです。

3. バリューチェーンで自社の強みを整理する3ステップ

それでは具体的には、バリューチェーンを用いて、どのようにしてマーケティング分析を行うのでしょうか?3つのステップに分けてご紹介します。

3-1. 自社バリューチェーンの把握

まずは、自社がどのようなバリューチェーンを持っているのかを把握する必要があります。

どこの工程で付加価値(バリュー)を生み出しているのか、自社の活動を個別に分析して、明確にします。

3-2. 各活動のコスト把握

各活動の費用対効果を把握することにより、収益性を明確にして、無駄なコストを浮き彫りにします。

また、ある活動にかけるコストが別の活動にどう影響しているのかを調べ、自社の活動にかかるコストとその仕組みを明確にしていきます。

3-3. 強みと弱みの分析

それぞれの活動の強みと弱みを分析し、付加価値を向上できる活動を強化し、反対に費用対効果の悪い活動には挽回施策を検討するなど、自社が注力すべき部分を探します。

以上で、自社のバリューチェーンの全体像を把握し、各活動ごとのコストと、強み弱みが明確になりました。あとは分析の結果を元に、経営戦略・マーケティング戦略を立案して、改善していきます。

4. バリューチェーンの有効性を探る

自社の強みが他社と比べて優れている場合、その強みとなる活動をさらに生かす方法を考えます。商品力、サービス、ブランディング、マーケティング、価格など戦略は様々です。

競争が激化している現代において、低価格という理由だけで競合他社に勝つことはできません。自社の強みを把握し、ブラッシュアップすることで差別化戦略に役立て、価格以外の点で消費者を魅了していくことが重要です。

5. バリューチェーンから強みを考える

それではスターバックスを例に挙げて、バリューチェーンのどこに強みがあるのかを考えてみたいと思います。

ご存じの通り、スターバックスはサードウェーブコーヒーが世を席巻する中、激化するコーヒー業界においても、近年さらに業績を伸ばしている企業ですよね。

スターバックスの強みは幾つかありますが、特に他社との優位性を図っているのは、主活動における「原材料などの購買力」と「マーケティング」の2つの強みではないでしょうか?

まずは、「原材料などの購買力」について。

スターバックスの1杯のコーヒーは他社に比べやや割高な価格設定になっていますが、その分、他社よりも高い価格でラテンアメリカ、アフリカ、アジアのサプライヤーからコーヒー豆を仕入れています。

そのためスターバックスは他社より優先的に「高品質」のコーヒー豆を購入し提供することができるのです。

もう1つの強みは「マーケティング」にあります。

都会的でおしゃれな内装と、清潔でメンテナンスの行き届いた店内に、質の高いサービスと「サードプレイス(家、会社に続く第3の場所)」というコンセプト。さらにスターバックスのコーヒーカップや紙袋は、顧客にとって一種のステータスです。

あるいは他のコーヒーショップよりも、せっかくならスターバックスでパソコンを開き、仕事に励む人が多く見られるのも、他社よりも「スターバックスに行くことがおしゃれである」という顧客の心理を捉えているからです。

こうした現状を作っているのも、スターバックスの強みの一つがマーケティング力にある証拠だと言えます。

スターバックスは、このような強みをブラッシュアップしていくことで差別化を図り、競合に負けずに業績を伸ばしています。

マーケティングやブランディングが強いことはイメージできますが、「原材料などの購買力」は意外に知らなかった方も多いのではないでしょうか?

まとめ

バリューチェーンを用いてマーケティング分析をすることで、自社の強み弱みが明確になり、他社との競争の優位性を見極め効果的な戦略を立てることができます。

自社のマーケティング戦略にもバリューチェーン分析を活用し「自社の強み」を武器に、現代の大海原を力強く渡っていきましょう!

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