レッドブルを取り上げるのは初めてではありません。以前も「レッドブルに学ぶ3TIPS」と題して、主にマーケティングメッセージとタッチポイントについて詳しく見ました。
創業者のディートリヒ・マテシッツ氏は、1984年にレッドブルの元となるドリンクの販売権を得ました。それ以来、レシピの改良と斬新なブランディング・マーケティング戦略で世界中に販路を広げてきました。その快進撃は、多くの人が知るところとなりましたね。
ここでは、そのレッドブルが取ってきたブランディング戦略を振り返り、7つのポイントに分けて読み解いていきます。
あなたはレッドブルにどんなイメージを持ちますか?
斬新?リスクテイカー?パンク?パワフル?チャレンジング?あるいは、危険?
それら全てが、レッドブルのブランディング戦略が作り出したものなのです。一つずつ見ていきましょう。
市場を創造したレッドブル
唯一無二であることはブランドとして非常に重要なことです。
当然ながら、他でも手にできるものや得られる感覚に価値はありません。そのブランドじゃなくてもいいということは、ブランドとして終了宣言をされたようなものです。
レッドブルの創業計画書には、マテシッツ氏がこう書いたそうです。
「レッドブルのための市場は存在しない。我々がこれから創造するのだ。」
出典:「レッドブルはなぜ世界で52億本も売れるのか」著者:ヴォルフガング・ヒュアヴェーガー
これぞブランドとして、他の何者でもなく「レッドブルになる」ことを宣言した言葉ではないでしょうか?
そしてこの言葉通り、レッドブルは自らの市場を開拓し続けました。ブランディングの出発点として、レッドブルは間違いなく正しいattitude(心構え)を持っていました。
翼をさずけるレッドブル
レッドブルを有名にしたワンフレーズといえば、「翼をさずける」ですね。
レッドブルのコピーといえば、多くの人がこのワンフレーズを思い浮かべるはずです。それくらいこのメッセージは人々の心に印象を与えます。
いくら良い成分が入っていても、味や匂いが良くても、それだけで人の心は動きません。
これといった感動がなければ、たとえ何度か購入してもらうことはできても、似たような商品が世に出てきた時に、変わらず選んでくれる理由が乏しいです。
レッドブルは「翼をさずける」というメッセージを繰り返し発することで、レッドブルのイメージを徐々に定着させていきました。
このイメージを訴えかけて、イメージを定着させていくといった方法は非常にブランディング戦略として優れています。
レッドブルがつくるタッチポイント
印象的なメッセージを繰り返すことは重要ですが、どこで繰り返すのかも重要です。
これはつまり「顧客とのタッチポイントをどこに作るのか?」といった問いを考えるという意味です。
レッドブルの場合、創業当初こそとても地道な営業活動を続けたようですが、近年ではTVCMに加え、スポーツの祭典を自主開催することで、多くのスポーツファンとのタッチポイントをつくっています。
また一方で、街ではレッドブルガールと呼ばれる女性がサンプリングをしつつ、ただ配るだけではなくコミュニケーションをとります。
このように規模の大小をうまく使い分け、レッドブルは非常にうまく顧客とのタッチポイントをつくっています。
同じ印象を与え続ける
以前、「ブランドとはイメージ」だとお伝えしました。特定のイメージをつくるには、同じ印象を与え続けなくてはなりません。
レッドブルは、それを同じカラーリング(赤・青・銀)のもと、同じメッセージ(翼をさずける)を発信して、タッチポイントを創造し続けることで多様に展開してきました。
しかし、一貫していることは「同じ印象を与え続ける」ということです。レッドブルのブランディング戦略の根底にあるのは、この派手さはなく、地味で真面目な決まり事です。
「同じ印象を与え続ける」・・・これも立派なブランディング戦略の一つなのです。(後編に続く)
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