アドエビスマーケラボでも、ビジネス誌よりわかりやすくIoTをまとめたり、産業と私たちの生活にIoTがどのような変化をもたらすかを紐解いてきました。
IoTの基礎情報はお伝えできたかと思うのですが、まだまだ「IoTの実態は分からない」あるいは、国内事例を調べてみても似たような事例ばかり出てきてしまうため、「海外事例を知りたい」といった方もいるのではないでしょうか?
やはり事例を参考にするのが、一番理解が深まります。業界によっても、だいぶIoTの活用方法が変わるので、異なる業界を参考にするのも良いでしょう。
そこで今回は、国内サイトで調べてもあまり見ない事例を中心に、海外事例・国内事例にわたり様々な業界のIoT事例をご紹介していきます。
1. 身近な生活におけるIoT事例
まずは身近な生活におけるIoT事例です。ライトやサーモスタット、コーヒーマシンがインターネットにつながると何が起こるのでしょうか?
1-1. PHILIPS LIGHTING
PHILIPS LIGHTING社が提供する「PHILIPS Hue」で、私たちはスマートフォンでその時のムードに合わせて照明をコントロールしたり、時には防犯のために電球を設置して、侵入者を明滅によって知らせることができます。
APIも用意されていて、Netflixで観る映画に合わせて照明を自動的に変える演出も可能とのこと。照明がIoTによって進化するとどうなるのか?是非、動画を見て私たちの近未来の生活を想像してみてください。
1-2. Nest
「サーモスタットがIoTで進化すると、どうなるの?」そんな質問に答えてくれるのがNestです。(聞き慣れない人が多いと思いますが、サーモスタットは家の温度調整をしてくれる機械のことです。)
Nestのすごいところは、家族のみんなの日々の習慣を覚えて分析して、最適な温度を提供しくれるところです。
例えば起きる時間や寝る時間は、家族によって異なりますよね?Nestはそんな家族をまるで見守るように、暑すぎず寒すぎないように家を保ってくれるのです。
1-3. Protect
こちらもNest社の製品で「Protect」という名前の火災報知機です。同じ会社がサーモスタットと火災報知機を開発している点に、ふと疑問を持ったあなたの勘は鋭いです。
サーモスタットのNestが家の温度調整をするなら、Protectは家の防災面を担うといったように、家にあるものがだんだんとインターネットと繋がっていく、いわゆるスマートホーム・スマートハウスと呼ばれる構想において、Nest社は注目を集める企業の1つです。
ちなみにNest社は2014年にGoogleの傘下となり、家にある家電や機械とインターネットが繋がる様々なサービス開発をしています。そういった意味でも、今後どのような動きを見せるのか、IoT事例の1つとして目が離せません。
1-4. August Smart Lock
August Smart Lockは鍵のIoTを体現しています。スマートフォンを使って鍵の開閉をすることはもちろん、24時間誰が入ったか(出たか)といったログを残したり、ヴァーチャルキーを家族や友人と共有できたりします。
August Smart Lock以外にも、カメラやキーパッドなどの製品も出ているので、好きなように組み合わせればIoT化したスマート玄関の完成です。
1-5. Smarter Coffee
コーヒーマシンがIoT化するなんて、今回のIoT事例の中ではコーヒー好きが関心を持ちそうな身近な問題です。(自分で淹れたい、マシンは使いたくないなどの好みは別にして)
スマートフォンでSmarter Coffeeを遠隔操作することで、美味しいコーヒーをベストなタイミングで淹れて飲むことができます。起きて眠気まなこをこすりながら、ベットの中からマシンを起動してコーヒーを淹れるなんて、なんて贅沢なIoTでしょうか。
2. 自動車業界におけるIoT事例:mojio
つづいては、自動車業界におけるIoT事例です。自動車のIoT化と言えば、Googleのスマートカーを真っ先に思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、従来の自動車に端末を差し込むことでIoT化する事例も、(Googleのスマートカーとは若干異なる文脈ですが)注目されるべき分野として複数社が競い合っています。
mojioは、端末を自動車に差し込むことで、走行データを蓄積することができます。
そしてそのデータの分析を元に、目標までの最適な道のりを示したり、位置情報を常に把握できるようにしたり(家族が運転している時など安心)、自動車の状況(リコールが必要か?など)がわかるようになったりと、自動車に関するあらゆる情報を手に入れることで、より良いカーライフが送れるようになる優れものです。
医療・ヘルスケアにおける事例:Fitbit
前回もご紹介したFitbitは、身につけるだけで歩いた時間や運動時間・睡眠時間・心拍数の測定などができるウェアラブルデバイスです。
センサーが人体に関するデータを取得して、クラウドでそのデータを蓄積し、分析してフィードバックするというステップで健康状態を把握し改善できます。医療・ヘルスケアのIoT事例は、人命に関わるゆえに大きな関心が寄せられる分野です。
物流における事例:ハンブルグ港湾局
ハンブルグ港は、ドイツ北部に流れるエルベ川の河口付近に位置する、ドイツ最大の港湾です。海上コンテナ取扱量世界第8位という大規模な港湾でありながら、海から100kmほど内陸に存在し、貨物の積み下ろし場所を拡張できないという難問を抱えていました。
課題解決のためには、現在の積み下ろしスピードを速めなくてはなりません。
そこでトラックの運転手にタブレットを携帯させ、トラックの位置情報・空いている駐車スペース・交通状況・事故情報といったデータを連携させて、積み下ろしスピードを改善しました。
ハンブルグ港の海上コンテナ取扱量は、今後も増えて行く予見があり、取得・蓄積したデータをもとに更なるスピードアップを図っています。
出典:
Wikipediaーハンブルク港
SAP News Center「Internet of Things im Hamburger Hafen」
小売におけるIoT事例:Rebecca Minkoff
出典:
How the IoT Retail is revolutionizing retail models
ソーシャルメディアを活用したマーケティング戦略にも注目が集まるアパレルブランド、Rebecca Minkoff。実はIoT事例でも世界的な注目を集めました。
簡素になりがちなフィッティングルームに、まさにスマートミラーとも呼べるIoT化した鏡を導入したのです。(もはやデジタルサイネージと言いたいところですが、鏡です)
商品にはRFIDが付いているので、近づいただけで商品情報をミラーに表示させますし、関連商品をリコメンドしたり、ミラー上で気になるコーディネートを試したりできます。
金融・銀行における事例:りそな銀行
銀行におけるIoTは、コミュニケーションロボットと呼ばれるロボットが行内に入ってきた顧客の一次対応をする、といったシーンに見受けられます。
りそな銀行は、動画で紹介されているSotaというロボットが顧客の来店をセンサーで検知してスタッフに共有したり、顧客との対話データを収集し、クラウド上にそのデータを蓄積することで、運営オペレーションの改善に活用することができます。
みずほ銀行もPepperの導入を発表していますし、今後も銀行×IoTの文脈で様々なサービスがリリースされる予見があります。
製造業における事例:コマツ(KOMATSU)
出典:
BUSINESS CLOUD NEWS「Telstra, Komatsu sign $23m cloud, IoT deal」
最後は国内IoT事例、特に製造業におけるIoT事例として有名なコマツです。正式名称は小松製作所、世界的にもKOMATSUとして高い評価を受けている建設・鉱山機械メーカーです。
コマツはIoTを駆使して、世界中で稼働、ないしは休止している建設機械の状況を把握しました。このことにより、機械が故障したりメンテナンスが必要とされていたりするなど、顧客の課題を真っ先に把握して対応することができるようになりました。
それだけではなく、機械が活発に稼働している地域は今後も需要が伸びるということがわかり、コマツの営業戦略を決める上で重要なデータベースを確保することにも繋がりました。
出典:
Customer Success「ビッグデータ活用でビジネスはどう変わったか ~コマツにおけるモノのインターネット事例から考える~」
日経ビジネス ONLINE「IoTを活用した新サービスが競争優位性の源泉に」
今回のまとめ
今回ご紹介したIoT事例は、全体のごく一部です。世の中に出ているIoT事例は、ここ数年で爆発的に増えてきました。
しかし、冒頭にご紹介したIoTが起こす私たちの身近な変化も、産業自体に革命を起こすような大きな変革も、まだ序章に過ぎません。今後もたくさん出てくるIoT事例を参考にしつつ、自社の商品・サービスにどのように活用できるのかを考えていきましょう。
以下も、ぜひ参考にしてください!
参考:
「大注目!どのビジネス誌よりも解りやすく「IoT」をまとめました」
「今さら聞けないIoTとは?産業&身近な例の2つの変化を考えてみよう」
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