「アドブロック」という単語、聞いたことはあっても、あまり深くは理解できていないという方が多いのではないでしょうか。
WEBサイトの運営者は多くの場合、収益を得ることを目的としているため、サイト訪問者による「広告」の閲覧・クリックを望んでいます。
しかし、サイト訪問者にとって、時に広告の存在はストレスです。
世の中には需要と供給があるわけで・・・それらをブロックするツールが登場しました。それが、「アドブロック」と呼ばれるものです。
今回、アドブロックには一体どのようなツールがあるのか、マーケターとして、アドブロックに関してどのようなことを理解しておかねばならないのかを解説していきます。
アドブロックとは?
一般に、「アドブロック」と呼ばれるツールを用いることで、WEBサイトに配置されている広告が表示されなくなります。
パソコンでブラウジングをするユーザーであれば、最も著名なものに「Adblock Plus」がありますが、これを利用することによって、広告を読み込んだり、誤ってクリックしたりすることなく、WEBサイトを閲覧することが可能となります。
Adblock Plus
また、最近ではスマートフォンの普及率が国内外で高くなっていますが、スマートフォン向けにも、様々なアドブロックアプリが登場しています。
iPhoneに向けては、基本ソフト(iOS)上で「Ad Blockers」と呼ばれる機能が提供されており、これをオンにすることで、標準ブラウザ「Safari」で広告を表示しないようにすることができます。
広告を読み込むことがないという点で、ページ読み込み速度がグンと上がりますし、誤クリックを防ぐことができるという点では、悪質なWEBサイトにジャンプしてしまう危険を防ぐことができますので、ユーザーとしてはメリットが多い機能といえます。
一方で、WEBサイトの運営者にとっては、せっかく時間や労力をかけて制作したコンテンツが“タダ読み”されてしまう危険性をはらむため、多くの場合、歓迎すべきものではありません。
アドブロック|理解しておきたい3つのポイント
アドブロックがどのようなものかは理解できたでしょうか?
以降では、マーケターであれば知っておきたい、アドブロックに関する3つのポイントを紹介します。
1. アドブロックの現状
アドブロックのメリットやデメリットについて認識すると、WEBサイトの読者が、どの程度アドブロックを導入しているのかが気になるところです。
DIGIDAY「Survey: 80 percent of those who know about ad blocking use it」
出典:DIGIDAY「Survey: 80 percent of those who know about ad blocking use it」
海外メディアのDIGIDAYによると、Midia Reseachが米国、英国、ブラジル、オーストラリア、フランス、スウェーデンにおいて実施した調査結果では、アドブロックの認知度が調査対象者の約41%で、うち約80%がデスクトップ、約46%がスマートフォンで、アドブロックを導入しているそうです。
認知度が約4割である点をはじめ、紹介した数字が多いのか少ないのかはさておき、WEBサイトの運営者はアドブロックに対抗するために、すでに様々な方法を練っています。
代表的な事例として、アドブロックの利用者が記事を閲覧出来ないように制限していたり、記事の配信自体を有料化してしまっていたり、専用アプリの配信によってこれを回避するような策が挙げられます。
2.「Adblock Plus」がまさかの広告販売を開始
アドブロックを深く理解するために、1つ業界の近況をお知らせしておくと、広告をブロックする役割を果たすはずの「Adblock Plus」が、広告の販売を開始した一件は、2016年の重大トピックでした。
この事実を伝えるForbesによれば、「Adblock Plus」は広告の仲介業者になろうとしているように感じられます。
「Adblock Plus」では、Webサイトの表示などに影響が少ない広告を、「ホワイトリスト」として認定しています。ユーザーは、こうした「ホワイトリスト」に登録されている広告についてもブロックすることができますし、かつこうした広告についてもデフォルトで表示が「オフ」になっていますが、広告の出稿者が金銭を支払うことにより、「ホワイトリスト」に登録された該当の広告表示が、デフォルトで「オン」になります。
こうした状況は、当然のことながら、多くの広告出稿者から批判を浴びています。
アドブロックに左右されない分散型メディア
アドブロックに関する議論はいたちごっこであり、なかなか終着点が見えません。
しかし、こうした議論を嫌うWEBサイト運営者は、すでにそのマネタイズ方法を変更しはじめています。
FacebookなどのSNSに、そのまま記事を投稿する「分散型メディア」がそれにあたります。WEBサイト運営者は、アドブロックに左右されないような運営を目指すことで、収益の安定化を図ろうと模索しているのです。
まとめ
アドブロックは、読者にとって有益ですが、WEBサイトの運営者にとっては目の上のたんこぶとも言える存在です。
WEBサイト運営者はその迂回方法をさまざま研究していますが、「分散型メディア」は新たなメディアの形として今後も注目を集めることでしょう。
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