アカウントベースドマーケティングの展望ー技術革新が可能にした概念

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「アカウントベースドマーケティング」が、海外を中心に話題になっています。

・・・とはいうものの、アカウントベースドマーケティングってそもそもなに?という方も、たくさんいらっしゃることかと思います。

今回は、アカウントベースドマーケティングについて、一体どんなものなのか、海外ではどのように話題になっているのか、そして今後、日本ではどのような展望が予想されるのかについて、解説していきたいと思います。

1. アカウントベースドマーケティングとは?

まずは、アカウントベースドマーケティングが一体どんなものなのかについて考えていきましょう。

アカウントベースドマーケティングは、英語でAccount-Based Marketing、略してABMと表記されることも多くあります。

Accountは、日本語でアカウントと訳されることも多い英単語ですが、ここではクライアント企業という意味でとらえるのが妥当でしょう。Basedは基づいた、Marketingはマーケティングと訳して、何らかの顧客に基づいたマーケティング手法だな、という想像ができてきます。それではどんな顧客を対象にマーケティングを遂行するのでしょうか。

結論から言うと、それは大口クライアントです。多くの企業では、たった2割の顧客が売上の8割を占めていると言われますが(「パレートの法則」)、アカウントベースドマーケティングは、まさにそこをターゲットとしたマーケティング手法であるといえます。

2. 海外で注目を集めはじめたアカウントベースドマーケティング

先の章で、アカウントベースドマーケティングが一体どんなものなのかが掴めたと思います。

しかし、こうした説明をすると「その考え方って以前からありましたよね?」という質問が聞こえてきそうです。そう、たしかに以前からこうした考え方は、ありましたし、特段新しいものではありません。ではなぜ今、アカウントベースドマーケティングが海外で注目を集めはじめているのでしょうか。

答えは簡単で、アカウントベースドマーケティングを実行するだけのプログラムが、最近になってようやく登場し始めたからです。海外のコンテンツストラテジストContentlyは、調査会社eMarketerの図表を引用しながら、次のように説いています。

出典:Contently

As eMarketer points out , the concept of ABM has actually been around for more than a decade.Thanks to sophisticated marketing platforms, business intelligence technology, and advanced targeting features, it’s easier than ever for B2B companies to find their ideal clients, apply those findings to the sales process, and lock in on specific accounts.

(eMarketerが指摘するように、アカウントベースドマーケティングのコンセプト自体は、10年以上も前から存在していました。洗練されたマーケティング・プラットフォームのおかげで、BtoB企業は、理想的なクライアントを見つけ出し、販売プロセスを適用し、特定のアカウントをロックすることが、以前よりも容易になりました。)

結果、2015年にはEverStringとDomoという企業の調査対象のうち、約59%もの企業が、アカウントベースドマーケティングを実装するにいたりました。これは、BtoBという分野において、アカウントベースドマーケティングがいかに浸透してきているのかを示すデータです。

こうしたアカウントベースドマーケティング浸透の背景には、それを実行するだけの優秀なプログラムの登場があると先述しましたが、一体どのようなテクノロジーが使用されているのでしょうか。

出典:Contently

eMarketerは2015年と2016年で、どのようなテクノロジーが、アカウントベースドマーケティングに使用されているのかを、世界中のマーケターに対してヒアリング調査しています。

これによれば、マーケティング・オートメーション・ツールはもちろん、ウェブ・アナリティクス・ツールや、ソーシャルメディア・モニタリング・ツールなど、多くのテクノロジーが、たった1年間で、10%前後伸びていることが確認できます。

マーケティングオートメーションツールの進化から、アカウントベースドマーケティングが飛躍的に普及していることは理解できたかと思いますが、導入企業は具体的にどのような方法で、顧客とコミュニケーションをとっているのでしょうか。

出典:Contently

これは、米国においてアカウントベースドマーケティングを導入している企業のBtoBマーケターから得た、顧客への連絡ツールに関する調査内容ですが、驚いたことに、96%の企業が「メール」を導入していると答えています。

容易に操作が可能で、費用もかからないことなどがその理由としてあげられますが、なんとなく前時代的ですよね。コミュニケーションツールが他に様々あるにも関わらず、メールが人気となっている現状からも、アカウントベースドマーケティングが比較的最近、普及しはじめた考え方であることが分かります。

ただ、一方で注目したいのは、他の手段も徐々に勢力を拡大しはじめているということです。特にパーソナライズド・ウェブサイト・アカウントについては、4割を超えるマーケターが導入意向を示しています。

このように、アカウントベースドマーケティングはマーケティング市場においても、ここ数年で急速に普及しはじめた、古くて新しい考え方です。技術革新がようやく提唱されていた仮説に追いつき、実際のオペレーションとして実現可能になってきたということもできますね。

そんなアカウントベースドマーケティングですが、今後日本ではどのような展望が予想されるのでしょうか。

3. アカウントベースドマーケティングの展望

これはGoogleトレンドで調べた「アカウントベースドマーケティング」と「マーケティングオートメーション」の過去5年間の人気度の比較です。

ご覧の通り、マーケティングオートメーションが徐々に浸透してきた一方で、アカウントベースドマーケティングは、まだまだこれからといったところです。

今後、マーケティングオートメーションがさらに普及し、市民権を獲得していくと、アカウントベースドマーケティングは話題になっていく可能性があります。

これだけアカウントベースドマーケティングの話をしたら、これを導入すれば確実に利益があがるのかと思われるかもしれませんが、そうではありません。

マーケティングオートメーションも同様ですが、導入することが目的ではなく、あくまでも目指すべきは利益のアップですから、マーケティング担当者がその成果を注意深く追跡する必要があります。

成果が上がる成功事例が増えてくれば、それだけ導入する企業も増えていくことでしょう。

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