「ブランディングの科学」から学ぶマーケティングに関する6のTIPS(前編)

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「ブランディングの科学」はすでに読みましたか?ブランディング・マーケティングに関わるすべての人にとって、この本は決して無視できない内容です。

ブランディングの科学 誰も知らないマーケティングの法則11

もしかしたらあなたは、「昨今のブランディング・マーケティングの本は特に真新しいことがない。」「最新のマーケティング理論は専門的すぎて、本当に合っているのか信憑性が低い。」このようなことを考えていたりしませんか?

確かに一理あるかもしれません。しかし、そう思う方はぜひ「ブランディングの科学」を手に取っていただきたいです。この本は、よくある教科書的なマーケティング本とは一線を画します。

今回はこの本から得られるいくつかのTIPSを6つにまとめて、前編後編に分けてお届けしたいと思います。

間違った仮説に基づいている?

まずは「ブランディングの科学」を読み進める上で、基本となりそうな考えをインプットしましょう。これは本書の基本スタンスだとも言えます。

今日のマーケティングの担当者たちはまるで19世紀の医者のような仕事を実践している。科学の発達の影響を受けてはいるが、その恩恵を十分に反映しているとは言い難い。ベストプラクティス(最良の実例)でさえも主観や憶測に左右されている。今でもマーケティングの教科書は、検証不十分な理論、根拠のない理論、寓話的理論であふれている。(P. 33)

かなり辛辣なコメントです。ただ著者がここで言っているのは、いくら優秀なプランを組んでも、施策を練っても、間違った仮説を拠り所にしては成果は出ないといった当たり前のことと、定説かのように見えて間違っている理論が世にあふれているといったことです。

この本はブランディングやマーケティングに関して、”世の中ではこう言われているけど実際はこうだ。”といった論調が多くでてきます。

マーケティングの典型的な過ち

さらに著者はマーケティングの典型的な過ちとして、以下のようなことを列挙していきます。

  • 顧客が混乱するようなパッケージの変更を行い、ブランドの目立つ力を弱めている。
  • 無意味な記憶構造を構築する、またはその刷新に貢献しない広告を制作している。
  • ブランドに最適な記憶構造を構築するための調査を怠っている。
  • ブランドが独自性を構築し目立つ存在となるための調査を怠っている。
  • ブランド名の確立以外、ブランディングが不完全なまま広告を制作している。(P. 35)

実はこの箇条書きは、全部で11個あります。ここではその一部を抜粋しました。

筆者は過去の業務において列挙されているような失敗の経験があり、この内容は耳が痛いものが多くあります。

ブランドと顧客の出会いは一瞬であり、競合が世にたくさんある中では、実は出会うことすら奇跡的なことかもしれません。

そのような状況において、ブランド側の都合でパッケージを変えたり、不十分な調査をもとにクリエイティブをつくったりするのは”過ち”だと責められても何も言えません。

また、「ブランディングの科学」では、なんども『記憶構造』という言葉が出てきます。

ここに列挙されている内容も、よく見ると「ブランドが顧客の脳内にどのような記憶を作りたいのか?」といった点に集約されます。

独自のブランド資産を形成する

著者が言う『記憶構造』を別の角度から見てみましょう。

独自の資産はブランドに本来備わっているものではない。消費者がブランド体験から学び取っていくものである。(中略)強固で独自の要素を形成するためには、ブランドはあらゆるメディアを使って長い時間をかけて継続的に消費者に情報を発信しなければならない。(P. 183)

この言葉から見てとれるように、ブランドは長い時間をかけて継続的に(とても辛抱強く)同じイメージを訴求することで、顧客の記憶構造にアクセスして定着することができます。

先に挙げたようなパッケージの変更や、どのような記憶を作り出すかの指針なしにクリエイティブをつくることは本来ありえないのです。

以前、エビスマーケティングカレッジでは「ブランド=顧客のイメージ」とお伝えしました

このイメージという言葉は、ぱっと聞くと抽象的で刹那的なものを連想させますが、ブランドが長年かけて顧客の脳内に築き上げた記憶構造だと捉えると、違った見方ができるのではないでしょうか?(後編につづく)

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