マーケターであれば必ず一度は耳にしているであろう「パレートの法則」
意外性がありながらもわかりやすいシンプルな内容ゆえに、マーケティングに関する法則のうちでも、広く知られている存在となっています。
しかし、実際にパレートの法則をリアルな数値で検証して確かめた人はどれくらいいるのでしょうか?
それも一度や二度の検証ではなく、何度も検証して間違いないと言える人がどれくらいいるのでしょうか?
実際のところ、パレートの法則とは信頼性が高いものなのでしょうか?
以前もご紹介した「ブランディングの科学」を参考文献に3つのTIPSでその点を紐解いていきましょう。
複数存在するパレートの法則
パレートの法則とは、8対2の法則として知られています。
たった一つの現象を説明するのではなく、マーケティングに関する現象だけでも複数パレートの法則で説明できるものがあります。
おそらく最も有名なものは、『2割の顧客が売上の8割を生み出している』といったものではないでしょうか?
購入金額が高い少数の顧客が8割もの売上を上げているといった意外性がある一方で、マーケターの経験則からは信じられる内容であることからも、一種のアハ体験を生み出しているのかもしれません。
その他には、以下のようなものがあります。
『2割の製品が8割の売上を生み出している。』
『費やした時間の2割で仕事の成果の8割を生み出している。』
『2割の社員が売上の8割を生み出している。』
パレートの法則は誤解を招く?
ここでふと純粋に疑問に思うことがありませんか?
『2割の顧客が売上の8割を生み出している』と聞いて、(ああ、その通りかもしれない。)と思っても、本当に全てのケースで当てはまるのだろうか?と・・・。
そのような疑問を抱えている人に「ブランディングの科学」は、このように語りかけます。
パレートの法則の80/20という単純な数値化は誤解を招きやすいことを理解しておかなければならない。実際の比率は80/20ほど極端ではない。(P.78)
パレートの法則は本当?
このあとの文章を読むと、「ブランディングの科学」の主張はもっともだと言えます。
実際のところ顧客は多様な顔を持つため、調査期間をどの程度に設定するかでヘビーユーザーだったAさんがライトユーザーになったり、その逆が起こったりもするものです。
こうなると「2割の顧客」という定義自体を定めるのが難しくなります。
また商材によってもパレートの法則が顕著に表れる例と、そうではないものがあります。
ガソリンは車を持っていれば、多くの人が必ず定期的に使うものですよね?(特にアメリカでは顕著です)そうなると、パレートの法則が正しいと言えるほど、顧客の分布は偏らないと想像できます。
このように、パレートの法則は条件次第では信頼性が低くなる場合があります。
私たちマーケターは広く知られた法則であることは認めた上で、それを鵜呑みにすることなく、実際に目の前にある数字からソリューションを導き出すことに専念すべきでしょう。
パレートの法則は概ね正しいが条件次第であり、参考にすべき先人の知恵だというのが本当のところではないでしょうか?
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