ヒト型ポートフォリオに執心しているあいだに前回の記事からだいぶ間が空いてしまいましたが、そろそろノウハウ的な話にも戻していきます。
この記事でお伝えしたかったのは、データを最初から「まるごと分析しなければいけない対象」と捉えずに、まずは「現実と結びつけて仮説を検証するための手がかり」として捉えてほしいなというところです。
と、いうふうに前回の記事は締めさせていただきましたが、それを受けて今回の記事でお伝えしたいのは「現実から逆算してデータ(数字)を動かすイメージ」です。
さて、上図は私がいつも用いている「リスティング運用の際のフレームワーク」です。
基本的には、「キーワード」「広告文」「リンク先」「入札」を使って「表示回数」「CTR(クリック率)」「CPC(クリック単価)」「CVR(コンバージョン率)」をコントロールするという考え方で、リスティング運用における9割以上の手段はカバーできます。
(※この資料、当ブログで使うのも何回目かなのですが、今回さらにカスタマイズをしています。入札はあくまで「調整弁」であって、根本的な解決は「キーワード」「広告文」「リンク先」である…という思想を反映させるため、入札はすべて「△」としています。)
ただ、それをそのまま理解してもらいたくない、というのが今回の記事の意図です。
ちょっと表現を変えてみたのが、下記の図です。
広告文・リンク先がクリック単価に影響する…のような仕組みの話は、なかなか現実のものとして想像しづらいのですが、その他はわりと口語的な言葉に落とせます。
このあたりを網羅的に理解するために、具体的な例で見てみましょう。 たとえば、あなたが「水性マジックペン」を売りたいとします。
「ペン」「油性ペン」「ボールペン」「シャープペンシル」「鉛筆」(※)までキーワードを拡げたらどうなるでしょう?
もちろん、キーワードのカテゴリを拡げたほうが基本的には探している人も増えますから、リーチは広がります。これが表示回数の増加です。逆に「高性能な水性マジックペン」みたいなものを探す人に絞るなら表示回数は減ります。
でも、順当に考えると、(※)のようなキーワードを探している人のコンバージョン率は低いはずです。「ペン」を探している人の中で「水性マジックペン」を探す人はごく一部ですし、その他のキーワードだとそもそもユーザーが欲しがっている製品と少し違います。(でも、可能性はゼロではないというところもご理解いただけるかと思います)
このあたりまでがキーワード(≒ユーザーモチベーション)についての考え方です。
さて、広告についてはどうでしょうか。
上記の「ペン」というキーワードに対して、「水性ペン」を謳った広告を作ったら、もちろんCTRは下がるでしょう。
しかし、それでもクリックしてくれるユーザーにとってCVRは必ずしも低くはないと想定されます。(入り口を狭めても入ってきてくれるだけのモチベーションがあるということ)
逆に、「水性ペン」しか取り扱っていないのに「ペンあります」みたいな広告にしてしまったらどうでしょうか。
きっと、前者に比べてCTRは上がりますが、CVRは下がるでしょう。要は、サービスを提供できない人にまで門戸を広げていることになるので)
リスティング広告には、CTRが上がるほどクリック単価が下がりやすいという仕様があるため、結局は「どれくらいの入り口の大きさにしているのが最も効率がよいか」という視点で検証していけばよいのではないかと思います。
今回、データの「デ」の文字も出なかったですが、伝えたかったことは、リスティング広告において「データ(数字)を動かすのは施策であり、施策は現実に基づいた思考で効果が想像できる」ということです。
現実に基づいた思考で仮説を立て、同じ方向性でデータが動いているかを確認し、違うのであれば別の因果を探す…これさえできればリスティングのPDCAは回せるといって過言ではありません。(言うは易しみたいなまとめで恐縮ですが…)
どうか数字を動かすことを怖がらないでください。予想以上に動きすぎて損失が出たとしても、多少の失敗であれば、あなたが成長する価値のほうが上のはずです。
【おまけ】
さて、使おうと思って作ったけれど使う場所がなかった「絵」が余ったので、オチの代わりに最後で紹介させてください。題して『なぜ「カードローン」のクリック単価が高いのか』です。
おあとがよろしいようで。
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